友人T.Iの死
昨日、弟と一緒に近所のスーパーにお菓子を買いに行った。いつも僕の全額負担。
帰路につく僕たちだったが、前方から、この地域では見慣れない人が歩いてくるのが見えた。
フードを深く被り、片手をポケットに突っ込み、フラフラと歩く男性。
中学校の旧友、T.Iだった。
懐かしい人との再会に心は弾むも、徐々に沈み始める。
「どうしたの、随分と変わったね」
そう言い肩を叩こうと伸ばした手を払い、僕を馬鹿にする顔をして暴言を吐き、胸ぐらに掴みかかってくる彼。
弟が逃げるように帰っていく。
稲妻。
この人はT.Iではなかった。
話し方も態度も煙草の匂いに満ちたその身なりが、それを決定付けていた。
彼であった彼が腐り落ち始めた。
どうしよう、お菓子持たせておけば良かったな。
なんか頭が痺れるな、疲れてるのかしら。
チョコレートが溶ける!
いやでも小雨降ってるし風もあるから空気は冷たいよ、大丈夫。
T.Iは死んだよ。